みなさんこんにちは!昨シーズンが4月のReiteralmのスラロームのレースで終わり、日本に戻ってシーズンの振り返りをしながらフィジカルトレーニングに励んでいました。自分がタイムが出ていない原因を洗い出して、それを改善するためのトレーニングプログラムを父と考えて、新しいことに取り組んだ夏でした。そして今はヨーロッパに戻ってきていて、7月13日から7月23日の間、スイスのアルプスSaas FeeでGSトレーニングを行っています。
今季から練習と試合を共にする新しい仲間とも仲良くなりいいスタートダッシュを切れました。ヘッドコーチのクリスチャン、アシスタントコーチのショーン、イギリス人のロブ、ベルギー人のルイ、自分の計5人での今回のキャンプは、天候にも恵まれ、比較的安定したコンディションでトレーニングをすることができました。時期によっては大雪や天候不良で、長期滞在しても数日しか滑れないこともあるのでラッキーだったと思います。自分は昨年、GSとSLのスキーで違うブランドを使用していたのですが、今季から完全にフィッシャーに変えたので、そのフィーリングチェックも兼ねてのキャンプでした。
10日に日本を出発して、11日にオーストリアのキッツビュエールに住むコーチの家で1泊した後、サースフェーまで7-8時間かけて移動しました。コーチが、スキーをチューンナップする機械を忘れたことに出発の1時間後に気づいてまた戻ったりハプニングがいろいろありました笑 スイスは国土の58%が山岳地帯のため、峠道が多い印象です。自分は後ろの座席に座っていたのですが、ヨーロッパ人は運転が荒い人が多く、コーチもかなり飛ばすので、峠道はずっと吐きそうでした😅 でもスイスの景色は綺麗で、オーストリアとはまた違った景色です。オーストリアからは自分とコーチ2人、その日にベルギーのチームメイトが合流して最初の3日間は2人で、4日目からはイギリスの選手が合流して3人の選手でトレーニングしました。
Saas Feeはイタリアとの国境近くに位置するスイスのリゾート地です。トレーニングする場所は標高4000メートル近いところになります。ここまで高い標高なので、トレーニング中はそこまで感じないですが、トレーニングが終わった後の疲労感はものすごいです、、、 年中オープンしているので、夏はアルペンスキー以外にも、スノーボードやスキークロスの選手が来てトレーニングをしています。ホテルは1800メートルくらいのところにあり、毎日ロープウェイ2つとケーブルカーを使って頂上まで行くのですが、45分弱かかるので毎日大変です。今回はナショナルチームの選手が来ていなかったので、ほぼ1番乗りでロープウェイに乗れました。環境保護のために、山の麓の村ではガソリン車を走らせることが禁じられていて電気自動車のみになっています。電気自動車はものすごい値段がするそうです、、、標高が高いので何週間も滞在するのであればしんどいですが、山に囲まれた自然を感じられる場所なので自分はまあまあ好きです。
今年はオーストリアにある、Ski race academy Leitner というプライベートチームで活動します。コーチのChristian Leitnerは、12回W杯優勝したフィンランドのKalle Palanderのコーチを務めたり、2010-2015年全日本ナショナルチームのヘッドチームを勤めていた名将です。彼はスキー選手なら誰もが知るキッツビュエールに住んでいるので、シーズン中トレーニングをするときはキッツビューエルの近くで行います。去年からトレーニングなどは一緒にやっていましたが、今年から本格的にプライベート契約をしてシーズンを共にすることになりました。彼はとてもリーダーシップのある人間で、選手のことを第一に考えてくれます。自分の信念やこだわりがとても強く、周りの人間と衝突することもしばしばありますが、、、笑 名前のあるコーチなので、どこでトレーニングするにしても良いコンディションのコースを予約してきてくれます。プライベートでやる以上費用はかかりますが、ワールドカップ選手とほぼ同様の環境でトレーニングすることができていているので恵まれているなと感じます。
https://www.skirace-academy-leitner.com
去年Maria Almという場所でトレーニングをしていた時、隣のレーンでトレーニングしていたベルギー人のルイに声をかけられ、そこで意気投合して今年のチームメイトになりました。彼に対してはたまに鬱陶しいと思う時もありますが、明るくてとても社交的な人間です笑 コーチが探してきたイギリスのロブもチームメイトになり、今季は3人でチームをスタートします。ロブはスラロームを得意とする選手で彼の技術から学べることがたくさんあります。アシスタントコーチのオーストリア人のショーンも合わせて、計5人でのキャンプとなりました。ショーンは自分と1つしか年が離れていなくて、ついこの間選手を引退したばかりのコーチです。後から選手がまた入ってきますが、クリスチャンと年間契約をしているのは自分とロブだけなのでシーズン中はこの2人を中心にレース転線をします。昨年のこの時期は、イタリアにある、GBスキーチームと一緒に、Stelvioという場所で大人数でトレーニングしていました。しかし反対にシーズン中はスキーの手入れ、運転、宿の手配、チームキャプテンミーティング、トレーニングバーンの確保など全て1人でやっていたので、今年は少人数のグループというちょうどいいところで活動できています😂 スキー以外のことにたくさん気を配っていた去年よりも、今年はスキーだけに集中してシーズンを送れそうです👍
日本にいる間に、去年の振り返りをして、課題とそれに対するアプローチを行ってきました。その効果がものすごく現れたキャンプだったと思います。スキーのターン中、右に向かう右ターンは外足である左足と重心の位置関係、左に向かう左ターンは外足である右足と重心の位置関係が重要になります。その精度を高めるためにいろんな新しいことに取り組みましたが、一番効果があったのは父が開発した、”かかと竹馬”という道具だと思います。普通の竹馬は重心がつま先の方にありますが、スキーでは重心がくるぶしの下寄りになるので、そこに足を乗せて左右のバランスを確認しながら、リズムを変えながら歩いたり静止したりしてトレーニングをしました。その成果もあって、今回のキャンプの初日からいい滑りをすることができました。また、できるだけリラックスして必要最低限の力で滑ることもテーマでしたが、日を追うごとにつれて力んできて今まで通りの滑りに戻ることもしばしばあったので難しさも感じています。このキャンプでのいい状態を1年通して維持できれば結果もかなり変わってくるのですが、それができるかできないかがトップとその他大勢を分けるポイントになると思います。自分は毎年、シーズン始めが一番良くて、段々調子を崩してしまうタイプなので今年はシーズン中にこまめにいろんなところをチェックしていきます。
雪上トレーニングの後はジムに行ったり他のスポーツをしたりアイシングをしたりコンディショントレーニングをしています。ビーチバレーのコートやサッカーフィールドもあるのでチームメイトといろいろなスポーツをしました。今回はしませんでしたがドライビングレンジもあってとても充実しています。チームメイトのルイはずっと動いてないと気がすまないらしく、夕食の後もサッカーに付き合わされていました笑 自分は疲労で早く寝たいのによくそんなエネルギーが残っているなと感じます😮💨 滞在している場所も標高1800mなので長期間いると体に負担がかかります。何週間もキャンプを行なっているチームもありますが自分たちは11日滞在して帰りました。しかし天候が崩れる日などはロープウェーが動かなくなるので11日滞在してトレーニングできた日は8日だけでした。現在ヨーロッパでは温暖化が進んでおり、夏トレーニングできる場所が限られてきています。この時期は標高3000mを超えるところでないとトレーニングができる場所が基本的にないので、今回はサースフェーにきましたが、体にものすごい負担がかかる上にスイスの物価も高いので、9月10月は他の場所でトレーニングをします。今季一緒に活動するチームメイトとも仲良くなり、自分の技術的な取り組みも成果が出てきていると感じたので最高のキャンプだったなと思います。今後はオーストリアに戻りフィジカルトレーニングです🏃♂️